2019年 FA業界新年賀詞交歓会の様子

2019年 FA業界新年賀詞交歓会の様子

過去最多750人が出席市況をはね返し活気あふれる

ニュースダイジェスト社(ND)が主催する「2020年FA業界新年賀詞交歓会(ND賀詞交歓会)」が1月10日、名古屋市内のホテルで開かれ、FA業界各社の幹部ら750人が出席した。今年の工作機械産業の受注について、NDの八角秀編集長は1.1兆円、日本工作機械工業会(日工会)の飯村幸生会長は1.2兆円との見通しを発表した。NDマーケティング大賞の贈呈式では北川鉄工所の北川祐治会長兼社長(以下、会長)が登壇し、続いて受賞講演をした。

月刊生産財マーケティング 編集長 八角秀

業界展望

月刊生産財マーケティング
編集長 八角秀

2020年受注見通し
1兆1000億円

 20年の受注総額は前年比10.6%減の1兆1000億円と予測した。内訳は内需4500億円(前年比10.0%減)、外需6500億円(同11.0%減)。不透明感がぬぐえず、引き続き下押しする一年となりそう。20年を読み解くポイントは、国別や業種別ではない「マクロリスク」の時代であること。
 主なマクロリスクとして①世界同時減速②11月の米国大統領選挙③長引く米中覇権争い④変革期迎える自動車産業⑤期待かかる半導体と5G⑥金融リスク、為替リスク――の6つが挙げられる。これらを踏まえた工作機械市場の動向は、今年後半には緩やかな回復に向かうとみる。ただし内需は好材料が少なく、外需は予断を許さない。グローバル生産体制の再編には注目すべき。
 処方箋として、底打ちの動きをとらえ、需要増に備えること。要は、次の好況でどれだけ速く初動対応を取れるかが大切。具体的には以下の4つが挙げられる。①FAは中長期的な成長産業②供給能力の最適化③FA業界の役割が変化④堅実な経営、課題への回答。特に役割変化については、上流から下流、デジタル化や自動化などを広い視野でとらえ、FA業界が顧客にピンポイントの提案をすべきだ。

(図1)

(図2)

日本工作機械工業会 飯村幸生 会長

今年の受注見通し

日本工作機械工業会
飯村幸生 会長

2020年受注見通し
1兆2000億円

 日工会は20年の工作機械受注総額を1兆2000億円と見通す。1兆2000億円を最低限とするつもりで、会員企業が一丸となって取り組む。特に今年は12月7日から30回目の日本国際工作機械見本市(JIMTOF)があり、生産性向上をはじめお客さまの課題への解決策をお見せしたい。19年の第4四半期から20年の第1四半期を景気の底とし、同第3四半期から反転するとみる。
 20年の内需の見通しは、昨年12月に閣議決定された事業規模26兆円の政府総合経済対策をはじめとするプラス効果を期待する。外需は軟調とみるが、国際通貨基金(IMF)が世界経済の実質GDP成長率を3.4%と予想したことや、中国依存が少ない地域から受注が回復することに期待する。
 受注見通しの分析は①受注見通しアンケート調査②マクロ指標からの回帰モデルを使った試算③国内外GDPと産業連関表を用いたモデルからの試算④設備更新需要モデルからの試算⑤ピークからボトムへの傾向からの試算(投資マインドの勘案)の5項目で行った。
 19年については、先行き不透明感から投資マインドが予想以上に慎重になった結果、調整期になったと認識している。

(図3)

(図4)

NDマーケティング大賞

NDマーケティング大賞贈呈式

NDマーケティング大賞贈呈式

 第36回NDマーケティング大賞の贈呈式では、同賞選考委員長の清水伸二日本工業大学工業技術博物館長・上智大学名誉教授が、北川鉄工所の北川祐治会長の授賞経緯を説明。「バランスの取れた3事業で会社を運営し、それぞれが高いレベルにありながら成長を続けている点などを評価した」と語った。
 北川会長には、NDの樋口社長から顕彰状が、昨年の受賞者である岡本工作機械製作所の石井常路社長からブロンズ像が手渡され、出席者から盛大な拍手が送られた。

NDマーケティング大賞贈呈式

受賞講演概要

 北川会長が取り組んださまざまな改革が紹介された。社長に就任した01年当時は業績が低迷していたが、18年には売上高603億円、経常利益59億円にまで伸びた。
 企業再興に取り組む中で考えたのが「事業理念」「事業戦略」「事業運営」の3つの要素だ。旧来の社訓を分かりやすいビジョンに落とし込んで「事業理念」の浸透を図り、海外市場への進出や付加価値の向上といった「事業戦略」を推進。社外でのオフサイトミーティングなどを通じてコミュニケーション力やマネジメント力を高め「事業運営」の活力を高めた。北川会長はこれら3つの要素をうまく融合させることで、安定成長を実現した。

新春トップインタビュー

新春トップインタビュー

テーマ「気鋭の経営者に聞く FA業界のこれから」

オークマの家城淳社長、牧野フライス製作所の井上真一社長、ファナックの山口賢治社長兼最高経営責任者(CEO)の3人が議論し、ニュースダイジェスト社の樋口八郎社長が司会した。

オークマ 家城淳 社長

オークマ
家城 淳 社長

どうなる今後のFA業界
改善とイノベーションを継続

 ポイントは大きく2つある。一つ目は自動化技術などを通じて生産性向上や生産革新、さらに言えば改善とイノベーションを顧客にどう提供するか。二つ目は「コト売り」の重要性が高まっている点。コト売りに必要なのは、自社工場で実証した成功体験を顧客に販売することだ。
 FA業界は今後も自動化やデジタル化に取り組む必要があるが、改善が進まずイノベーションだけが進む恐れがある。改善とイノベーションを持続させる環境を、現場ありきで作り上げることが重要。

わが社の経営戦略
自己変革能力が重要に

 これからの不確実性の高い時代を生き抜くには「ダイナミック・ケイパビリティ(自己変革能力)」が重要だ。環境の変化に対し、自社の経営資源を柔軟に組み合わせて対応する。そして、必要に応じて外部の経営資源も生かしながら、持続的な競争優位性を確保していく。
 自己変革能力を高める取り組みの一つとして、わが社は「デジタルツイン」の技術開発に注力している。さらに、組織全体を柔軟に変化させるためにデジタル革命(DX)も同時に進め、マスカスタマイゼーションへの対応力を高める。

牧野フライス製作所 井上真一 社長

牧野フライス製作所
井上 真一 社長

どうなる今後のFA業界
ブーカの時代はチャンス

 一言で表すと「VUCA(ブーカ)」の時代だ。不安定さ、不確実さ、複雑さ、不透明さを意味する英単語の頭文字を並べた言葉で、要するに未来の予測が非常に難しい状況を指す。ブーカの時代に求められるのは、適応能力。日本人や日本の産業界は適応能力に優れている。それだけに、日本にチャンスが到来するだろう。
 FA業界の未来がどうなるかは分からない。むしろ、未来をどうしたいか。ゼロから1を作り上げるのは簡単ではない。異分野の専門家の知恵や知識を自社の経営資源に組み合わせる「オープンイノベーション戦略」がそれを可能にする。今後は競合の時代から、協力や協業の時代になるだろう。

わが社の経営戦略
IQからEQへ

 わが社は①道具として優れた機械の提供②100人の顧客に、100通りの戦略に沿った商品やサービスを提供――の2つを存在意義に掲げている。
 道具として優れた機械を提供するには、信頼性を最優先に考えた機械を開発する必要がある。これを踏まえ、わが社は今年、「e-machine(マシン)」という新たな戦略を打ち出した。これまでは機械の知能指数(IQ)を高めることに注力したが、今後は感情知性(EQ)を追求する時代が来る。そこに開発資源を投入し、顧客や社会が求める機械を作りたい。

ファナック 山口賢治 社長兼CEO

ファナック
山口 賢治 社長兼CEO

どうなる今後のFA業界
4つの要素技術で貢献

 わが社はモノのインターネット(IoT)、ロボット、CNC、これら全てに密接に絡む人工知能(AI)の4つの要素技術を保有している。それぞれの要素技術を中心に、顧客にどう貢献するかを考えている。
ロボットはティーチングレスなど、使いやすさをこれまで以上に意識して開発に当たる。
 CNCは工作機械を制御する基本的な機能に加え、今後はデータのハブ(中継装置)としての機能も持たせたい。

わが社の経営戦略
クラウドシステム開発で協業

 IoT、ロボット、CNCの視点で説明すると、IoTでは「デジタルユーティリティクラウド」を実現するサービスを開発する。簡単に言うと、工作機械メーカーや工作機械ユーザーがDXを推進できるよう、安全なクラウドシステムを開発する取り組みだ。わが社だけではできないので、富士通やNTTコミュニケーションズと協業した。
 ロボットでは、昨年の「2019国際ロボット展」で新型の協働ロボット「CRX」を初披露した。安全性や使いやすさを武器に、ロボットの敷居を下げたい。
CNCでは基本性能はもちろん、多機能化や高度化、そして使いやすさを追求する。

pagetop